ised議事録

08-21設計研第5回

D5

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(開催:2005年8月20日 横浜プリンスホテル 貴賓館/ 議事録公開:2005年11月11日)

概要

 設計研第5回では、予測市場やポスト株式資本市場、そしてプラットフォーム企業の新しい公共性について議論された。

 近藤淳也は、株式会社はてなの運営を通じて、組織を「なめらか」あるいは「オープン」にする方法について論じる。例として、予測市場の仕組みを用いて、ケインズの美人投票さながらに、ユーザーからのニーズ・要望を吸い上げる「はてなアイデア」、そして社内の会議をPodCastingで公開する様子などが挙げられた。そして最後に、株式資本主義に代わる新しい企業のあり方を提示した。

 共同討議第1部では、まず八田真行から、これまで階層組織の担っていた情報処理機能は情報技術によって代替されていくのではないか、という論点が提出された。これは倫理研第5回でも参照されたH. A. サイモンの「認知限界」の問題である。村上敬亮は、官僚制組織との対比でこの問題を捉えた。

 次の論点として予測市場が取り上げられた。東浩紀は、はてなのコミュニティ設計思想に注目する。はてなダイアリーキーワードにも共通する点だが、はてなアーキテクチャでは、ユーザーたちは自分の私的な関心に基づいて――「動物的に」――振舞うだけで、いつの間にか公共性やコミュニティの全体について思考するように回路づけられている。これを東は情報環境における新しい公共性のあり方として注目する。

 共同討議第2部では、PodCastingによる会議の公開にフォーカスを移して、企業組織のオープン化について議論される。鈴木健は、企業の議事録がライセンス付きで公開されるような、新しい取引ネットワークの未来を描く。

 そして最後に、ポスト株式資本主義のあり方について議論が展開される。ネットワーク経済の特徴は、物理的資源に対する固定費や初期投資が多くかからず、ユーザーからのアイデアといった知識財が重要な「資本」となるところにある。そこで東浩紀は、プラットフォーム・サービス企業による、新たな公共性の実現形態がありうると語る。すなわち、ユーザーのネットワーク外部性によって得られた収益を、ユーザーに再配分(還元)するという可能性である。


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