なめらか

なめらか

 設計研第4回で、鈴木健によって提示された設計研のテーマ。

 たとえば「消費者/生産者」「教える/教わる」というように、既存の社会関係において二項対立的だったものを、情報技術あるいは情報社会化によって「なめらか」にしていく、という表現において用いられる。設計研第4会では、シグモイド関数によるヴィジュアル的な説明が行われている。

 なめらかな社会とはいったいなにか。まず、「なめらか」ということを説明するのに、「シグモイド関数」という非常に良い関数があるのでご説明したいと思います。この時点であらゆる人が興味を持たなくなるんじゃないかという気もしますが(笑)。

図:シグモイド関数
図:シグモイド関数

動画:シグモイド関数 (883k)(再生にはWindows Media 9以上が必要です。)

(中略)

 そして「なめらか」というのは、既存の社会関係におけるステップのような切り立った二者関係、つまり二元的なものを、なだらかな曲線にすることです。たとえば消費者と生産者の関係は二元的ですし、それに対してプロシューマーはすごくなめらかな感じがする。ここで重要なのは、ラムダという値を拡大していくと、なめらかになるということです。つまりステップなものは実際には存在しません。スケールを変えていくと、ものすごくなめらかに見えるということなんですね。

 もうひとつ重要なのは、私たちは内側と外側を分ける切り立った二元的な関係を、通常はよくないものだと考えがちです。つまり、敵と味方を区別するのはよろしくない、と。かといって、フラットもどうか。というのも、フラットな世界には非対称性・差異がないんですよ。ここには文化が発生しない。逆に、世の中はフラットだといってしまう欺瞞も存在するわけです。たとえば完全市場というのは公平でフラットな社会だといわれますが、実際にはフラットじゃない。完全市場なんかどこにも存在しないわけですから。そういう欺瞞性がフラットにはある。

 そこで出てくるのが「なめらか」なんですね。本当はなめらかな関係だけれども、なめらかではない概念がこの世の中にはたくさんあって、二元的なもの、たとえば組織の内側と外側を分けるという概念はそのひとつです。

PICSY

 この「なめらか」という概念を、鈴木健の電子貨幣プロジェクト「PICSY」のコンセプトで用いられている言葉でいいかえれば、「組織をヴァーチャルにする」に相当すると考えられる。