アラン・ケイ

アラン・ケイ

 「パーソナル・コンピュータの父」と呼ばれ、コンピュータの歴史における偉人のひとり。個人がコンピュータを使って自由にメディアをつくるようになる、という「パーソナル・コンピュータ」というヴィジョンを構想し、GUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェイス)やオブジェクト指向プログラミングなどを発明したことで知られる。

 ised@glocomでは、おもに設計研のメンバーから、「情報社会の設計」という理念を体言する人物として積極的に言及される。

The best way to predict the future is to invent it.

 アラン・ケイの著名な言葉に、「未来を予測する最良の方法は、未来をつくってしまうことである」というものがある。設計研第4回では、設計研の基本的なスタンスとしてこの言葉が言及されている。

 講演を始める前に、パーソナルコンピュータの父といわれる、アラン・ケイの「未来を予測する最良の方法は未来をつくってしまうことである」という言葉を紹介したいと思います。これは未来をみんなで占っているだけではなくて、「こうしたい」と思ったことを能動的に提案することが大切だということですね。すごく好きな言葉なんですが、先述した「予測ではなく、つくるほうにシフトする」という話にもつながっています。

鈴木健

 パーソナル・コンピュータというのは、いまではラップトップ・コンピュータのことだと一般的には思われていますが、アラン・ケイは違うといいます。いわば識字率が100%になるように、すべての人がプログラムを書けるようになったら世界が変わる。しかし、実際には日本でプログラム書ける人は100万人くらいでしょう。つまり100分の1ぐらいの人しかプログラムを書いていない。そうではなくて、1億人がプログラムを書くようになったら、ということをアラン・ケイはいったわけです。

 コンピュータ・リテラシーという言葉も誤解されています。すべての人がプログラムを書いて、しかも創造的なプロセスとしてプログラミングをする、絵を描くようにプログラムを書く。アラン・ケイはこれこそをコンピュータ・リテラシーという言葉ではじめて表現したんですよ。いま巷でいわれているコンピュータ・リテラシーというのは、そうではなくてマウスやインターネットの使い方、メールの受け取り方や書き方という意味に堕してしまっている。

 また井庭さんの講演にも出てきましたが、メタメディアという考え方も重要です。プログラミングをすべての人ができるということは、全員がパーソナル・コンピュータというメタメディアを使って、自分自身のメディアをつくるということです。そのために、彼は「オブジェクト指向」などの新しいプログラミングのパラダイムをつくって、もっとプログラムという行為をやさしいものにしようと考えました。さらに彼は、6歳の子供を対象にしたプログラミング教育などを行うなど、独自の教育論を展開しています。

メタメディア、ダイナブック

 こうした「メディアをつくるメディア(メタメディア)」としてアラン・ケイはパーソナル・コンピュータを構想したが、それはマクルーハンのメディア論に影響を受けたものであった。


鈴木健

 アラン・ケイは、マクルーハンの『グーテンベルグの銀河系』(みすず書房、1986年)を半年間なにもしないで読みこんで、メタメディアという概念を思いついたといいます。メディアの上にメッセージがあるというマクルーハンの議論をもとに、そのメディア自体を一人ひとりがつくることができたら、すごいことなんじゃないかと彼は考えて、それを可能にするデバイスをつくろうと思った。つまり彼の頭のなかにはハードウェアが最初からあって、コミュニケーションは二の次の問題だったんですね。

 アラン・ケイはこのパーソナル・コンピュータの発想を、子供が自由に持ち運べる新しいスケッチブックのようなものとして洗練させた。これをダイナブックと名づけている。

参考

* はてなダイアリーキーワード:アラン・ケイ