パターン・ランゲージ

パターン・ランゲージ

 建築家のクリストファー・アレクザンダーが、従来の都市設計論を批判し、そのための解決策として提案したデザイン・コミュニケーションの方法。専門家と素人をつなぐ「共通言語」のようなもの。設計研委員の井庭崇による紹介は以下。

 たとえば一般市民が建築や都市設計のプロセスに参加することができるために、アレグザンダーはパターン・ランゲージというものを考えました。これは253ぐらいのパターンで都市はできていると抽象化して定義を行うことで、建築家の玄人のノウハウをパターン化するわけです。たとえば玄関はこういう関係性で成り立つ、廊下というのは部屋と部屋をつなぐものである、といった関係性がすべてパターンで定義されている。そういったものを定義してあげることで、いままで共通の言葉を持たなかったユーザー側が、建築家に対して提案をすることができるようになるというものです。非常に面白い試みだと思います。またエリック・ガンマという人は、そのパターン・ランゲージの考え方をオブジェクト指向のソフトウェア設計にも適用して、デザイン・パターンというものを提案しています。

 

「都市はツリーではない」におけるツリー/セミ・ラティス

 アレクザンダーは、従来の都市設計に対して、住民を排除した専門家だけのプロセスに閉じられていることを批判する。また彼は別の論文“A city is not a tree(「都市はツリーではない」)”, Architecutural Forum, 122, no. 1-2, 1965.のなかで、従来の都市設計がきわめて人工的で本質的な住みやすさに欠けているという問題を、その都市設計の形式的構造が集合論的に「ツリー」であるためであると表現した。そしてそれに対し、自然成長的な都市の形式をセミ・ラティスであると分析している。

 人間には認知的な限界があるために、どうしても設計の際、機能を単純に可視化して整理した、ツリー構造をつくってしまう。そこで自然成長的=セミラティス的な複雑で繊細な設計を行うための方法論として、アレクザンダーはパターン・ランゲージを開発したのである。


参考

  • クリストファー・アレグザンダー『パタン・ランゲージ 環境設計の手引』(鹿島出版、1984年 asin:4306041719
  • クリストファー・アレグザンダー『時を越えた建築への道』(鹿島出版会、1993年 asin:4306043061)
  • 柄谷行人『隠喩としての建築――定本 柄谷行人集2』(岩波書店、2004年 asin:4000264877