場の設計

場の設計

 「場の設計」とは、設計研第2回での石橋啓一郎の講演で用いられた鍵概念。情報社会における課題はレッシグのいう「アーキテクチャ」の設計にあるとしたうえで、インターネットの歴史を検討しつつ、そのポイントを「『設計者の場』をどのように設計するか」に措定した。

 「場」という言葉は学問的な定義も多岐に渡るが、設計研第2回での石橋啓一郎の講演における定義によれば次のとおり。

複数の主体が参加して構成されるシステムのことでルールと構造を持ちます。場は誰かによって用意される場合もあれば、誰かが意図したわけではないけれども自然に出来上がる場合もあります。ここでは、ルールとは明文化されたものであり、誰かがある意図の元に定めたものを扱います。自然発生的になんらかの規範が生まれる場合も多いのですが、それは明文化されたルールとは区別しておきます。たとえば、参加資格・意思決定の手続き・組織図あるいは参加主体の関係と権限・文書化規則・スケジュール・参加維持のためのコスト・知的所有権に関するルール・議論・意見交換の場などがそのルールと構造として挙げられます。

 この定義には、いわゆる既存の「組織」も含むが、インターネット上のリジッドな組織形態を持たない緩やかなネットワーキング的組織も、この「場」に含めて総称されている。

いわゆる既存の企業組織も含みます。しかしここでは、組織に限定せず、より抽象的にこの言葉を用いています。たとえば組織形態の緩やかなネットワーキング活動なども、そこにルールと構造が見出せる限り「場」に含めていくことにします。

 またここで石橋が「複数の主体が参加して構成されるシステム」と述べているのは、公文俊平が提唱する情報社会学における定義をリファーしたもの。公文による「近代化」の把握によれば、それは次の二者、すなわち「主体」(個人に限らず、国家や企業などの「主体型システム」を含む)と、その主体が相互に社会的行為をプレーすることで創発される/プレーするための秩序である「場(=非主体型システム)」(市場など)の共進化として観察される。

 

 公文の近著では、以下のように述べられている。

近代化過程ではそれを担う新しい社会的主体とそのメンバー、および社会的主体がプレーするゲームの場となる非主体型の社会システムが共進化するという私の基本的な見方からすれば、智民と智業だけでなく、「智のゲーム」の場としての智場の出現をも考慮する必要がある。智場の原型ともいうべきものがまさに「インターネット」にほかならないことは、いうまでもないだろう。しかし、インターネットの「智のゲーム」の場としての特性が自覚的に展開させられるようになるのは、むしろこれからだと思われる。