機能構造主義

機能構造主義

 設計研第1回で、鈴木謙介情報社会の新しい秩序モデルを社会システム論的な文脈から整理し直す際、言及したターム。

社会学のなかでは、ある種のマックス・ウェーバー的なハイアラキカルな組織というのは「構造機能主義」と社会システム論的にモデル化されています。つまりシステム全体の構造を確定することで、それに寄与する部分の機能が決まるという順番なんです。この前提であれば、構造の確定あるいは目標の確定というのは欠かせないということになる。しかし二クラス・ルーマン以降のオートポイエティック(自己創発的な)社会システム論においてはそれが反転され、「機能構造主義」と呼ばれます

 社会システム論の始祖タルコット・パーソンズは、ウェーバーの行為論(ミクロな社会主体の意味づけに着目した社会理論)とデュルケームの統計学によるマクロ的な社会法則を社会的実体とみなす社会理論(「自殺論」など)の両者を統合的に理論化するべく、当時新興的な学問であった一般システム理論(ベルタランフィ)やサイバネティクスなどの知見を導入。社会秩序において、より秩序が持続しているものを「構造」、その構造の維持に機能するものを「過程」とする総体的な社会全体の秩序モデルを提示し、第2次大戦後のアメリカ社会学の一大パラダイムを築いた。

 しかし60年代以降、その枠組みでは事前に把握・措定した「構造」から外れるような機能を、単なる「逸脱」としてしか把握できないある種の全体主義的で硬直化した社会把握であって、社会変動のダイナミズムが捉えられないといったパーソンズ理論の<政治的解釈>に基づいた批判などを受けそのパラダイムは凋落する。

 そして80年代には、パーソンズに師事した社会学者二クラス・ルーマンは、マトゥラーナ/ヴァレラの免疫システムを理論化した「オートポイエーシス(自己創出)」を社会システム論に導入する。ルーマンの議論は複雑だが、ルーマンはあらかじめ所与の社会秩序にリジッドに構造などを措定する、単純な目的論/因果論的な把握を退ける。そして社会秩序とは、複雑な諸関係がたまさか自己境界を設定しているにすぎず、偶発的なものから自己創出されるものとして理論化されている。これをルーマンはパーソンズの「構造機能主義」の順番を反転させて、「機能構造主義」と呼んだ。