炎上

炎上

 炎上とは、CMC用語で、「フレーミング(flaming)」の訳。「IT用語辞典 e-Words : フレーミングとは 【flaming】 ─ 意味・解説」から引用すると、

相手を激高させたり侮辱したりすることを目的に発信する電子メールのメッセージ、ニュースグループの投稿記事、掲示板の書き込みなどのこと。また、そのような文書が原因で発生するネットワーク上でのけんかをフレームということもある。

 CMC研究では、Face to Faceのコミュニケーションに存在する相手の見た目・表情・しぐさといったコンテクスト情報が欠落するために、言葉尻だけを追った論争になりがちであることが指摘されている。また同時に、「論争のしかた・作法」「レスポンスの反応速度」といった、議論の内容水準とは関係のないコンテクストの水準での論争によって、不毛な闘争へと突入してしまう性格を持つ。(isedキーワード「コンテクスト闘争の前面化」参照のこと。)

倫理研第4回:加野瀬未友の定義

 炎上するというのは、ブログ以前であれば、掲示板がついている個人サイトの掲示板に多数の書き込みが殺到し、あるいは誹謗中傷などの発言によって荒らされることで、対応できずにそのサイト自体が閉鎖してしまうなどの状態になることを指します。また現在では、ブログのコメント欄に、管理人による個別のレスができなくなるほどに書き込みが殺到することを指しています。

 掲示板やブログのコメント欄など、要は「訪問者が書き込める場所」に多くの書き込みが集中し、対処ができなくなる状況のことです。ただし、それは単に数が集中するだけではありません。たとえば応援の書き込みだけが続けば、それは炎上とは違います。

 ただ、書き込みの内容にまで踏み込んで定義をするのは微妙なんです。たとえば否定的・批判的な書き込みが1,2個続いただけで炎上だと騒ぐことがありますが、それは普通に議論をしているだけですよね(笑)。いまはちょっと否定的な書き込みがあって盛り上がると、それだけでイコール炎上になってしまっている。炎上という言葉の定義はきわめて緩くなっているのが現状だと思います。

 さしあたってここでは、賛否両論ともに盛り上がっており、相対的に否の多い状態、という定義を付け加えたほうが議論はしやすいと思います。基本的には、ネガティブなイメージを必ず含んでいるものです。

コメントスクラム――倫理研第4回:小倉秀夫の定義

 また倫理研委員の小倉秀夫は、加野瀬の上記の「炎上」の定義に対して、新たに「コメントスクラム」と呼び、従来の掲示板で起きていた炎上と区別することを提案する。なぜなら、掲示板で起きる炎上は、いわば「公園で悪口を言われている」ようなものであって、誹謗中傷されたとしてもスルー(無関連化)しやすいからである。しかし、ブログのコメント欄に直接来る炎上的パタンというのは、本人に直接であるため応答責任が生じるため、スルーしにくく、より「サイトを潰す」という悪意も強い。また、コメントをする側はたいてい匿名が許されているため、攻撃を躊躇させる仕組みに乏しい。こういった観点から、別に新たな現象として捉えるべきとするもの。

小倉:

 まず、私は基本的に炎上という言葉は使わないんです。というのも、2ちゃんねるに代表されるような掲示板で行われるものと、ブログで行われているものとは、性質的に異なると考えています。私の理解では、「フレーミングflaming=炎上」とは掲示板で起こる現象を示す言葉であって、ブログのコメント欄に対して起きるものは別の表現を与えるべきです。そこで私は「コメントスクラム」という言葉を使っています*1。「コメントラッシュ」のほうがいいと提唱されている方もいますが。

 フレーミング(掲示板)とコメントスクラム(ブログ)のもっとも大きな違いは、掲示板では悪口や荒らしを言われていてもスルーしやすいという点なんですね。つまり、しょせん2ちゃんねるなど見ている人はそんなに多くはないかもしれないし、とくにその問題のスレッドを見ている人は非常に少ないわけですよね。仮にそのスレッドを見ていたとしても、「あなた、この間2ちゃんねるでこんなこと書かれていたけど、本当ですか?」だなんて、恥ずかしくて聞けません。2ちゃんねるの書き込みを信頼しているというのは、まともな世の中では恥ずかしい行為ですから(笑)。

 ところが、その本人のブログのコメント欄でわけのわからない悪口が書いてあるとなると、自分のことを知っている人が見ている可能性が高いし、なかなかスルーしにくいわけですね。コメントスクラムをやっている人々からも、どうも「このブログ主を潰してやれ!」という印象も強く受ける。僕のところにも「早く閉鎖しろ」あるいは「コメント欄を閉じろ」といったことがよく書き込まれているんですが、これまでの炎上と異なるのは、この直接相手に対して明言する度合いがかなり激しい点だと思います。

(中略)

 リアル空間に例えると、別に公園で悪口を言われていても気にならないけれども、自分の店に入って悪口言われるとやはり気になる、といった感じですね。

 公園では話を聞いている人もいるし、噂話している人もいるかもしれないけど、知らなきゃ知らないでいい。たまたま通りかかって噂話を聞いても、立ち止まらずにどっか行っちゃえばいいだけの話なんです。

 しかし、自分の店で自分の悪口をえんえんと毎日言い続けている人が来ると、これは放置しにくいわけです。しかも悪口を言いに来る人は覆面をかぶっていて、自分が誰だか分からないようにしている。これはやはり対策をとる必要があるでしょう、と。

 小倉自身による別の場所での定義は以下。

 ブログを開設していると、コメントが多数殺到し、執拗に批判や非難、質問が繰り返されることがあります。コメント欄に、低レベルの批判や非難、くだらない揚げ足取り、ブログ主やブログ主を擁護しようとするコメンテーターを困らせまたは消耗させることを目的とした質問等が延々と繰り返されると、当該ブログのコメント欄は雰囲気が荒涼としてしまい、良質の読者は去ってしまいがちです。また、低レベルな批判等であっても、それを真に受ける人々は少なからずいるので、ブログ主の名誉も傷つけられてしまいます。

 このように、特定のブログのコメント欄に、多数のコメンテーターが殺到し、ブログ主を批判、非難、中傷したり、揚げ足取りやくだらない質問が執拗に繰り返される現象を、メディアスクラムになぞらえて、「コメントスクラム」と私は命名しました。

 

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