破壊的イノベーション

破壊的イノベーション

 ハーバード・ビジネス・スクールのクレイトン・クリステンセンの主著『イノベーションのジレンマ』(翔泳社、増補改訂版 2001年 asin:4798100234)のキー概念。

 

 この論文のテーマは、「優秀な企業はなぜ(不可避的に)失敗するのか?」というもので、ハードディスク業界を対象に分析を行った結果、その原因は「技術革新の速度や難しさ」ではないという。

 

 むしろ原因は次のような構図にある。優良企業は、企業の本性的に顧客の要求に誠実に応えようとするため、将来的にはデファクトを取る技術革新を起こす技術であっても、なかなか投資を行えない。なぜなら、現時点での利益になりにくく、顧客のニーズもない技術は、結果として見限られてしまう。たとえば、性能も良くて価格も安いものがほしいというニーズに応えることでデファクトを維持している企業の場合がそうである。

 しかし、新興企業はその「見限られた技術」にテコ入れすることで、なんとか市場に食い込もうとする。その競争では、優良企業のコミットする評価軸とは異なる技術的特性(とにかくディスクサイズが小さいこと)が求められ、ニッチ的な新規顧客を獲得するわけだが、いつしかこの技術がデファクトになり、結果としてこの技術に対応できなかった主力メーカーたちを駆逐することになる。 

 

 つまり、優良企業は、顧客の意見をとりいえれ、顧客が求める製品の増産のために最適化し、性能改良のために積極的に投資する、というその優秀さゆえにこそ、リーダーシップを失うという逆説的な事態がある。こうした事態を引き起こすのが、「破壊的イノベーション」である。